をふの日記

毎日頭の中をお掃除するために書く日記

子泣き爺

 

  毎日書くと決めたのに、今日に限って2件も長電話をしているうちに日付けが変わってしまった。「日付けは変わったものの、寝るまでは翌日とはみなされないからセーフ」というマイルールを急場しのぎで設定した。したからには意地でも書こう。

 

  先日、LINEでゲゲゲの鬼太郎のスタンプを購入した。両腕を上下に振りながら「イヤジャ イヤジャ」と駄々をこねている子泣き爺のスタンプがどうにも可愛かったからだ。全40個のスタンプのうち、大半を鬼太郎と目玉のおやじとねずみ男のバリエーションが占め、子泣き爺が使われているのはたった1つ。40分の1の子泣き爺のためだけに課金できるほどには大人になった。

 

 「おやすみ」も「ごめんちょっと遅れる!」も「明日寒いみたいだから気をつけてね」も「今週の問わず語りの神田伯山聴いた?」も、すべてのメッセージに「イヤジャイヤジャ」で返している。不思議とどんなメッセージにも噛み合う「イヤジャイヤジャ」の汎用性の高さは、嬉しい誤算だった。

 

 子泣き爺に惹かれたのには、可愛いからだけではないワケがある。自分が子泣き爺に似ているからだ。正確には、笑顔が子泣き爺に似ている。大学時代、初めてできた友達にそう言われて衝撃を受けた。え?私って妖怪に似てるの?しかも顔のボヤけたお爺ちゃんに?

そんなバカな。

 

  帰宅して母にそれを報告したら「あっはっはっ!友達も上手いこと言うね!ほんとそっくり!!」

  全然似てないよと否定してもらうつもりが、追撃を受けた。以来、「芸能人だったら誰に似てるって言われる?」という質問には、自ら「子泣き爺です」と申告するようにしている。もれなくバカウケされるので、本当に似ているのだろう。

 

  中学生のときは、巨人のクロマティに似ていると言われた。  顔ではない。お尻だ。

  立ち方が良くないのか骨盤が前弯していている私は、真っ直ぐ立っていると不恰好に唐突にお尻がボコっと出てしまう。それがまさにお尻を突き出すようなフォームで打席に立つクロマティを想起させるらしく「ケツだけクロマティ」という不名誉なあだ名でしばらく呼ばれていた。

 

  同じく中学生の頃。ぱっちりお目目で華やかな顔立ちの友達に「フランス人形みたいだね」と言ったら、「ありがとモンゴル人形!」と0コンマ1秒の速さで返された。よく考えたら「ケツだけクロマティ」と命名してくれた友達とフランス人形は同一人物だ。

 

  他にも、ちびまる子ちゃんに似ているというのも、数えきれないほど言われたことがある。

  ある日、仕事でお世話になっている男性が「あなたは誰かに似てる似てると思っていたんだけど、ちびまる子でした!」と己の発見を嬉々として知らせてくれた。そこまでは良かったのだがその晩、「ちびまる子に似てるなんて言ってごめんなさい」と、お詫びのメッセージが送られてきたのだ。

  まる子に似ているのが悪い意味だったとは、まる子もショックである。

 

 (笑顔が)子泣き爺、(お尻が)クロマティ、(顔のテイストが)モンゴル人形とちびまる子。これすべて統合しひとつの生命体を作り上げるとすると、直線と点だけで描けるうすい顔に、頭とお尻だけがやたら大きい不恰好なボディを持ち、性別年齢不明どころか人間ですらないおぞましい姿が浮かび上がってくる。

 

 それが私。

イヤジャイヤジャ。

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