をふの日記

毎日頭の中をお掃除するために書く日記

犬とおじさんとりんご

 

  今日はすごくよく働いた。

 

  夕方、ポッと時間が空いたので、気分転換に犬と散歩に出かけた。

  長い一本道の向こうから、ニコニコ顔をしたおじさんがこちらに歩いてくる。100mくらい離れているうちからマスクをしているのに笑顔だとわかるのは、おじさんのニコニコが身体の中から湧き出て溢れているからだ。おじさんはただ一点、私の足元の犬を見ている。

  

 すれ違う瞬間を今か今かと待ちわびながら平静を装って私も歩く。おじさんが目の前まで来た。パッとしゃがんだ。犬をじいっと見つめながら「かわいいなぁ、かわいいなぁ」と撫でている。犬も、心の綺麗なおじさんが可愛がってくれてすごく嬉しいみたいだ。首を伸ばしておじさんに頭を押し付けている。

 

  過不足なく撫でるだけ撫でると、おじさんはサッと立ち上がって「りんごあげるよ🍎汚いもんじゃないからさ。この子に食べさせてあげて」と、持っていたビニール袋からりんごをひとつ取り出して私の手に載せてくれた。

 

  ふと「袖振り合うも多生の縁」という言葉が頭に浮かぶ。知らない人と道で袖を触れ合うようなちょっとしたことでも、前世から続く深い因縁によるものだという意ですが、袖が触れ合うどころかりんごまでもらってしまった。

 

  うちの犬とおじさんは前世でどんな深い因縁があったのだろう。また来世でも、こんな風に一度は会えるといいね。

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