をふの日記

毎日頭の中をお掃除するために書く日記

乗り間違えと乗り過ごし

 

  東京駅から新幹線に乗って三島駅で降りるつもりだった。こだまに乗ったつもりだったけれど、違ったみたい。

 東京を出てから一向に停まる気配のない新幹線に揺られ、どこまで連れていかれるのかと不安を抱えている。川がみえた。天竜川と看板に書いてある。検索した。長い静岡県をだいぶ西の方まで進んでしまっていることがわかった。

 

  やっと停まったと思ったらそこは豊橋駅。もう名古屋も目前だ。一刻も早く三島に帰らなければ。人を待たせている。

 

  けれどそこは新幹線。山手線のように次から次へとホイホイ来てくれるわけではない。はやる気持ちを持て余しつつ、待ち合わせの相手に電話をかけて謝り、遅れることを告げてやっと人心地ついた。

 

今できるのは写真を撮ることぐらいだ。

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犬も心なしか呆れ顔。

 

 

  大学時代、友達と夜通し新宿で遊んで、朝になり帰宅しようと中央線の大月行きに乗り込んだ。国分寺で降りるはずが、徹夜がたたって盛大に乗り過ごし、気づいたら大月駅に到着していた。

 

  どうして一度も目が覚めなかったんだろうと自分を訝しがりつつ、ともかく帰らねばと逆方面の東京行きに乗り込んだ。すると今度は終点の東京駅で目が覚めた。いかんいかん、またもや行き過ぎたと思い、そのまま折り返した。するとまた目が覚めたのが大月駅で…。

 

  黒ヤギさんが白ヤギさんに手紙を書いたら白ヤギさんが読まずに食べて、さっきの手紙のご用事なあに?と返信を書いたら黒ヤギさんもまたそれを食べてしまって…という歌がある。これは出口を塞がれたエンドレスループに入り込んだのだと気づいた。

 

  見つからぬ出口を探してウロつくより、違う出口から脱出しようと思い、もう中央線を折り返すのは止めた。開き直って大月から富士急行線に乗り換え、河口湖へ向かった。そうだ、私は乗り過ごしたのではなく観光に来たのだ。

 

  河口湖からバスに乗り、昔話『カチカチ山』の舞台となった天上山に登ってみた。徹夜明けの澱んだ身体に山頂でのまっさらな太陽が眩しく染み、トイレで顔を洗ってサッパリ仕切り直した。富士山はどれだけ眺めても飽きなかったけれども、さ、帰ろ。そろそろループから抜け出せる頃だろう。

 

  いま、緊張感を持ちながら東京行きの新幹線に乗っている。次は静岡駅だ。その次が新富士駅。そしてその次が目的の三島駅

  万が一にも眠ってしまって再び乗り過ごさないよう、携帯のアラームをかけた。電池の残りは7%と出ている。充電器を自宅に忘れてきてしまった。

 今日はマーフィーの法則が私の周りを乱れ飛んでいる。

 

 

※追記

帰り道に新幹線の乗車券を失くし、再び購入する羽目に