をふの日記

毎日頭の中をお掃除するために書く日記

忘れられない名前

 

  どんな話の流れだったか。友人と、子供の頃にテレビで観ていたロボコンが面白くて大好きだったという話になった。ロボコンとは、たぶんロボットコンテストの略である。間違っていたらごめんなさい。

 

  ロボコンの主役は、全国の高等専門学校の学生たちが作ったオリジナルのロボット。各県の予選を勝ち抜いたロボットたちが、全国大会で凌ぎを削るのだったと思う。間違っていたらごめんなさい。

 

  おぼろげすぎて絶対間違っている記憶では、制限時間内にペットボトルのキャップを何個空けられるかとか、遠く離れたバスケットゴールに何個ボールをシュートできるか等をトーナメント式で競っていた。と思う。間違っていたら〜以下同。

 

  学生たちが作ったロボットの造形はいい感じに怪しく無骨で、急に動かなくなったり、ボキッと折れたり、倒れて起き上がれなくなったり、数々のトラブルがドラマを生み出していた。リモコンを握って遠隔でロボットを操作している学生たちの、ボーゼンとしたような悔しそうな顔が、アップで映し出されていた。

 

  さて、肝心のロボットたちの造形については、全く記憶にない。ただし、それぞれのロボットには名前がつけられており、ひとつだけ明確にそらで言える名前がある。「帰ってきた鵜飼いコッコピヨピヨ丸2号」である。鵜飼いだけに、きっと岐阜県代表のロボットに違いない。

 

  昔から変な名前に目がないので、心の中でこのロボットの名前を復唱していたら記憶に焼き付いてしまった。「ひとつだけロボットの名前を覚えてる!」と、この名前を早口で言ったら友人に少し不気味がられたが、せっかくなので数回復唱してもらい、友人にも覚えさせた。次回会ったときに、ちゃんと覚えているかチェックするつもりだ。

 

  友人と別れた後、妙に気になってしまい「帰ってきた鵜飼いコッコぴよぴよ丸2号」を検索してみる。 

 

  f:id:raguri:20201129034133j:image

…いた。

ウカイコッコはカタカナだった。

1992年か。

足かけ30年近く覚えていたことになる。

 

  他のページでは、このロボットの制作チームは鵜飼のコスプレをして登場し、異彩を放っていたらしいことが書かれていた。かなり面白そうな図だが、それは全く覚えていなくて残念。

 

  以前読んだ、記憶を司る脳の海馬について書かれた本には「人は生死に関わる記憶を最優先して残している」と書かれていた気がする。

 

 もうかれこれ30年近くも覚えている「帰ってきたウカイコッコピヨピヨ丸2号」は、私の生き死にに関わるような重要な記憶なのだろうか。自分の生死が、とんでもないお調子者ものに握られているようで、少し心許ない気持ちだ。