をふの日記

毎日頭の中をお掃除するために書く日記

佐藤良成ライブ

 

  かれこれ15年くらい前、下北沢のラ・カーニャというお店で毎週木曜日に佐藤良成がライブをしていた。今思うと贅沢だ。

 

  始めて聴いた時から、声の響き方がすごく好きだった。対面して聴いていても、直接自分の前面に届いて身体に入っていくのとはちょっと違って、空間全部の空気を震わせてから、自分の身体と空気の境界線をぼかすように音が身体全体を包むように入ってくる感じ。自分の目の前で歌っていて、スピーカーはいろんな位置にあるのに全身から均等に音が入ってくる感じがするのはなんでなんだろう。

 

  わからないけど、とにかくその響き方が心地よくて、佐藤良成は絶対ライブで聴きたいうちの1人になった。生でしか体験できない不思議にいつも興奮する。そして声の素敵な人を信じている。

 

  ここ数年は、ラ・カーニャでのライブは年末だけやっていて、毎回超満員で脱いだ上着の置き場もないくらい。この年末ライブに、初めて佐藤良成のライブに一緒に行った友達と15年前と変わらず一緒に行くのが、年末の恒例になっていた。

  そんな中今年は、秋頃から毎週木曜日のライブが30名限定で復活とのこと。ちょっと早い年忘れにまたふたりで出掛けた。

 

  すごく良い。15年分の時もいっぺんに感じた。

  どんな仕事をしていた、誰と付き合っていた、髪の毛をバッサリ切った、泣きたいような気分だった、引っ越したてだった、犬を飼いはじめた、、、佐藤良成のライブに行った思い出とその時々の自分たちが定点観測のようにリンクして引っ張り出され、ちょっと圧倒されてしまった。

 

  思い出は重みがあるけれど、同時に記憶でしかないのでとても軽い。歌・音楽というのは思い出と質が似ているんだろう。  しっかり実感がありながら、その場を過ぎれば何もなかったことのよう。

 

  今日、すごく良かった。とあの場で同じ空気を体感した人達は、ひとり残らず100年後にはこの世にいない。100年後には全部なかったことになる毎日をみんな生きている。

 

 

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