吉開菜央特集上映『Dancing films』
いま、ユーロスペースで上映されている吉開菜央さんの映像がすごかった。吉開さんは米津玄師さんのlemonで踊っているダンサーで、自身も映像作品を作られる方。
ダンサーならではの、ビンビンに鋭敏な、狂気に近いくらいの知覚で感じた世界をそのまま反転させてアウトプットしたような作品群は、観ているこちらの知覚を恐ろしいほどに刺激してきて、静かに興奮してくる。
見ている間中、ずっと肩から両腕にかけて、えもいわれぬゾワゾワした感覚がつきまとっていた。視覚だけではなくて、音の持つ触覚が私の両腕を掴んで入ってきて、内臓まで届く感じだった。
触覚って、本当に真剣に研ぎ澄ませてゆけば、いつか内臓の内壁の感覚も拾えるようになりそう、という今まで思ってもみなかった希望を感じた。
今日はBプログラムだったから、会期中にもうひとつのAプログラムも観に行こう。これは見逃してはならぬ。25日までだ!いそげ!
付け足しのようだけど、上映後のトークとライブパフォーマンスも、すごく面白かった。
パフォーマンスでは、触れられる視覚と触れられる聴覚というものを感じて、それまで観ていた映画の体験がひっくり返るような、不思議な体感があった。 目を閉じていても何かを感じられる身体を私たちは持っていると、嬉しくなった。