ナルコレプシーへ続く道
今日は、MRI検査を受けた。MRIは、筒の中に入ったあとは爆音のオンパレードだ。
ドンッドンッドンッ、プー、パパー、ダダダダダンッなぞなぞ、手を替え品を替え、中に横たわる人間にプレッシャーを与え続ける。耳栓をしてはいるけれど、とにかく騒がしい。
ところが3ヶ月前にMRIを受けたとき、私はほとんど眠ってしまった。始まってしばらくして以降の記憶が途絶えている。 筒の中からスライドで引き出され、「終わりましたよ〜」と頭上のカバーを取られるその時まで意識がなかった。爆音の振動が心地良かったようだ。
母にその話をしたら、あんなにうるさい中で寝られるなんて信じられないけど、いつも10秒で寝ちゃうあなたならさもありなん、というようなことを言われた。
その経験から、今回は寝ないようにしようと思ってコーヒーを飲んで臨んだ。技師さんが「10分ほどで終わりますからね〜」と声をかけてくださるけれど、10分も横たわっていたら寝てしまう…と始まる前に不安になる。
つまり、今回も寝てしまった。前回よりは長くもったと思うが、体感としては2分目に差し掛かるあたりくらいから、カフェインの効果も虚しく意識がない。どうして寝てしまうんだろう。
夜ベッドに入ると、本当にすぐ寝ることができる。なかなか寝付けなくて困るなんてことは年に1度あるかないか。
学生時代も、授業を受けながらよく眠っていた。いつも最前列に座るくせに度々寝てしまい、さらに悪いことに姿勢良く背筋が伸びて顔を前に向けたまま寝てしまうのだ。クラスメイトから「また先生にキスのおねだりをしてた」といってよく笑われた。先生もさぞや恐ろしかったでしょう。
麻雀放浪記の色川武大さんの持病として有名な、ナルコレプシーの可能性が頭をよぎる。睡眠不足でなくても予期せぬ時に突然強い眠気に襲われて寝てしまう過眠症の一種だ。
“ 大事な場面でも眠ってしまうことについて「だらしない」「意欲が足りない」「真面目にやっていない」と思われ、本人や周囲が病気と認識しない場合が多くみられる”とあり、すべて自分を形容するに相応しい言葉のような気がしてますますドキッとする。
なんでも1か100かということはないわけで、診断がつかなくても中途のグラデーションのそこそこの位置に自分がいる可能性は大いにある。
私はまだナルコレプシーではないと思うけれど、ナルコくらいまでは行っているかもしれない。次のレに到達するまで、少なくともあと20年くらいは持たせたいものです。